2013.03.10

「国家の罠」、今日の花

 ベストセラーになった本だから、読んだ人が多いと思う。佐藤優の「国家の罠」(新潮文庫)を読んだ。あの「鈴木宗男事件」で逮捕された外務省外交官、佐藤氏の獄中記だ。紙面の多くを東京地検特捜部の担当検事、西村尚芳氏の取り調べ場面に費やしている。取り調べ中、被疑者にはメモをとることが許されていない。しかし、佐藤氏は2人の間で交わされた膨大な量の会話を正確に記述している。他にも、事件とされた2件の被疑事実に関する恐ろしく詳細な記録に驚嘆する。特殊情報を扱う外交官はこうでなければ務まらないのかもしれないが。
 検事は、早々に「これは国策捜査だ」と言明する。国策捜査は、被疑者を何が何でも有罪にするのだから、運が悪かったと思ってあきらめるように説諭する。検事は、国策捜査は「時代のけじめ」をつけるために必要だという。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作りだして、それを断罪するのだと。佐藤氏はそれに共感し、自分はいかなる時代のけじめの犠牲になったのかを考える。その結論に私は深く納得した。

 時は小泉政権、政治の力によって所得再分配を行ない、できる限り格差を減らしていこうとする政策から、経済的に強いものがもっと強くなることによって社会が豊かになるのだから、その邪魔になる規制はすべて撤廃することが善であるとする新自由主義に急速に傾斜して行く時代だった。また、排外主義的なナショナリズムが昂揚しつつあった。詳しくは述べないが、佐藤氏によれば、鈴木宗男氏の基本姿勢は、経済的に弱い地域の声を汲み上げ、それを政治に反映させ、公平配分を担保することだった。また、鈴木氏は、外交政策では国際協調主義の立場に立っており(時代を共にした橋本、小渕、森の三総理も同じ思想性を持っていた)、つまり、新自由主義の台頭、排外的ナショナリズムの昂揚という時代の大きな節目に、最適ないけにえとして鈴木宗男氏が選ばれたというのだ。

 そう言われれば、過去に同じケースがあったではないか。「首相の犯罪」である。日本列島改造論をぶち上げ、電撃的な日中国交回復をやってのけた田中角栄氏がロッキード事件で失脚した背後にアメリカの強い意思があったことは、今では常識の範疇と言って良い。あれもまた「時代のけじめ」であった。「国策捜査」はそうした「時代の意思」によって行なわれ、総理大臣ですらそれに抗うことができないということなのだ。(早野透著「田中角栄」中公新書、も面白いですよ)

  「国家の罠」は、実に多くのことを考えさせられた。少なからぬ外務省の上司、同僚は検察の筋書きに沿った供述を行ない、有罪の証拠になった。一方、逮捕後ただちに支援組織をつくった友人たちがいた。(村木厚子さんのでっち上げ事件でも、同じドラマがあった。)佐藤氏は、誰一人として恨みに思っていないという。読み終えれば、それが虚勢ではないと思える。読む前より、少し強くなれた気がする。本の力はすごい。

さて、今日の花。実は、今日の午前中に市川市民会館で「チャレンジド ミュージカル」を観て感動したのだが、その話は別の機会に書くことにする。

ミュージカルが終ってから八街に向かった。東習志野のマックスバリューにいい花屋があるという情報があり行ってみたのだが、これがまったくの誤情報、申し訳程度の売り場に仏花が少々ある程度、選ぶ余地がない中で買ったもので生けた。

            カサブランカ、桜、一ヶ月くらい使っている雲竜柳

               スプレーバラ、ガーベラ、レザーファン

                     スプレーバラ

                   アリストロメリア、ストック

         昨日の夜に用事があったので、今、透析中です。あと一時間!