2014.01.15

シンポ「地域生活支援の新しい戦略」


 昨日、中央大学駿河台記念館で「地域生活支援の新しい戦略 困窮化と高齢化を超えて」と題するシンポジュームがあった。日本学術振興会科学研究費研究プロジェクト主催、研究代表者の宮本太郎中大教授がコーディネートするシンポだった。第1部は3つの問題提起、宮本さんの他、さわやかの堀田力さん、消費者庁の山崎史郎さんが発題し、第2部はそれを受けてのラウンドテーブル、パネリストは厚労省生活困窮者自立支援室の熊木さん、豊中市の西岡さん、ふるさとの会の滝脇さん、法政大学の筒井准教授という、錚々たるメンバーが出演した。

 趣旨が次のように書かれている。「今、日本の地域社会では、一方においては「支える側」の現役世代の困窮化がすすみ、他方では「支えられる側」とされてきた高齢者が急増しています。八方ふさがりの状況にも見えますが、ピンチはチャンスです。「支え合い」のかたちを転換し、そのかたちを支援する地域生活支援の新しい戦略を考える時です。おりしも生活困窮者自立支援法が成立し、地域包括ケアシステムの構築がすすんでいます。これらの制度を相乗的に連携させて、インクルーシブな地域社会をつくることができるかどうかが問われているのです。」

 このシンポのことを知ったのは直前だったのだが、「生活困窮と高齢化を超えて」というタイトルに強くひかれて参加した。私の現時点での最大の関心事だからだ。正月休みの間に来年度の事業計画案を書いたのだが、「はじめに」の一部を(少し長いが)以下に紹介する。

 私たちは、第3次中期計画案を策定するにあたって、「地域包括ケア」をもっとも重要なキーワードと考えました。「地域包括ケア」は、超高齢社会の解決策として提案されたもので、「住まい、生活支援、医療、介護、予防」の5つの要素が地域に充実することで、介護や医療が必要になっても住み慣れた場所で暮らし続けることができるようにしようという考え方です。まず私たちは、これは高齢者のみに向けられた政策としてはならないということを明記しなければなりません。医療や介護の資源がなくて地域での生活を断念しなければならないのは、障がい者も同様です。また、地域に住みながらも、貧困や差別などによって地域社会から孤立している人たちも増えています。地域包括ケアとは、こうした人たち全員を地域社会の一員として迎えることを言うのです(これを「社会的包摂」と言います)。

 もう一つ重要なことは、地域包括ケアは、私たちの目の前にいる「一人」の人を支え切ることからしか始まらないということです。私たちは、日々の仕事を行なう中で、心ならずも自宅や地域での生活を断念し、施設や病院に移っていった人たちをおおぜい見ていますが、それは、私たちの敗北です。支え切ることができなかったということです。もちろん、私たちだけのせいだとは言いません。しかし、彼や彼女が地域で暮らし続けることができるための地域資源を作ることができなかったことを含めて、社会福祉を業とする私たちの責任であり、敗北であると考えなければなりません。

 地域包括ケアは、何か私たちの手に負えない大きな政策のように思えるかもしれませんが、そうではありません。今、私たちの前で「困っている人」の困りごとに可能な限り対応し、支えきることに尽きるのです。契約書に基づく業務を行なうだけでは支えきれない人がおおぜいいます。その人々を、可能な限り支え切ること、また、地域で孤立している一人の人をできる限り支えること、それが地域包括ケアです。

 「一人を支えきる」、これが第3期の最重要のテーマです。