2014.02.08

ユニバーサル就労とIPS

 IPSと言っても細胞のことではありません。「Individual? Placement? and? Support 」の頭文字をとったもので、重度精神障がい者の就労支援の一つの手法です。IPSのことを知ったのはちょうど1か月前、居酒屋での飲み会の席でした。就職するなら明朗塾のYさんが「ユニバーサル就労の効果は、IPSによって立証済みなんですよ」と言うんです。「え、IPSってなに?」と詳しく説明を聞いて、私は飛び上がって狂喜しました。重度精神障がい者の就労支援にあたって、長期に渡って通所等で就労訓練を行なうのではなく、本人の希望に沿ってできるだけ早期に就労先を見つけ(placement)、その後、精神科医、PSWなどのチームが継続的に支援(Support)を行なうことで、飛躍的な就労実績が上がっていること、欧米では広く取り組まれていることを知りました。
 まさに、ユニバーサル就労(UW)のシステムではありませんか。UWは、はたらきづらさを抱えた人と面談し、アセスメントしたうえで、いきなり職場に配属して就労を開始します。就労訓練は職場ではたらきながら行なうのです。Yさんは、重度精神障がいの人への就労支援方法として、欧米では有意な実績をあげているというのです。さっそく、IPSに関する書籍を買いました。間違いありません。従来型の、就労前に長期の訓練を行なう方法と比べて、明らかに優れた実績が証明されています。

 私は、IPSの手法は、重度精神障がいの人以外にも通用するのではないかと思います。ただ、専門職による分厚い就労継続支援体制を持つことがIPS方式が成功する条件ですが、UWでは、それができていません。逆に言えば、そうした体制がとれれば、UWはもっと有効性を高めることができるのではないかという仮説が成り立ちます。

 精神障がい者の生活支援手法にACT(Assertive Community Treatment )があります。重い精神障害を抱えた人が住み慣れた場所で安心して暮らしていけるように、様々な職種の専門家から構成されるチームがアウトリーチ型で支援を提供するプログラムです。千葉県市川市の取り組みが有名ですが、市川のACTチームは、就労支援はIPS方式でやっていることも知りました。

 来年の4月に、生活困窮者自立支援法が施行され、多くの自治体で生活困窮者への就労支援事業が開始されることになります。その際、就労の前に、半年から1年程度の通所または合宿型の「就労準備支援事業」が想定されているのですが、もう一つの方法として、IPS方式、すなわち、出来る限り早期に職場に配属し、その職場で就労訓練を行なうUW方式を広げていくことが必要ではないかと考えています。