2013.03.02

波佐間漁協、房州屋訪問

  波佐間漁協を訪問したのは2月19日のことで、少し古い話題ではある。以前にブログで紹介した、ひじき加工の就労継続支援A型事業所「房州屋」さんと、原料ひじきの生産地、波佐間漁協を訪問した。市原市にある房州屋さんには20人を超える障がい者が就労し、漁協で生産した乾燥ひじきの選別、袋詰めなどの作業を行なっている。異物が混じっていたり、長さがまちまちな乾燥ひじきを5種類に選別する作業が丁寧に行なわれる。茎の部分を4種類に分けたもっとも長いものを長ひじきとして製品化する。また芽ひじきも付加価値がつく。長く生協で仕事をしてきたが、実は食品の知識はうとく、ひじきが茎ひじきと芽ひじきに分けられることなど知らなかった。
 ひじきには、主に伊勢方式と呼ばれる乾燥原藻を水戻しして蒸乾する蒸乾法と、煮乾法に大別される。煮乾法ではさらに、房州製法に代表される生原藻を煮乾する方法と、乾燥原藻を水戻しして煮乾する製法とに分かれる。(Wikipediaから)房州ひじきの特徴は太くて柔らかいことで市場の評価も高いという。

 生活クラブのポリシーからすると、「5段階の手間がかかる選別で付加価値を高めるのではなく、無選別で価格を下げたらどうか」ということになるが、この手間が生み出す付加価値が障がい者の経済的な自立を促すことにつながるのだ。価値基準には常に複眼的な見方が必要だという典型的な例だと言えよう。

 生活クラブ風の村では、障害者就労支援事業所「とんぼ舎」があり、この9月に移転新築することになっている(来週、地鎮祭だ)のだが、そこで、房州屋さんと同様の事業を行なおうと考えている。(とんぼ舎は、就労継続A型と生活介護の事業を行い、A型としてはひじき加工の他にメイン事業として漬物製造を予定している。)

 房州屋さんを辞し、館山道をひたすら南下、房総半島の突端、ちょうどチーバ君のつま先にあたる場所に波佐間漁港がある。組合長のお話を聞くことができた。組合員105人の小さな漁協で、県内で唯一漁協合併の流れに抗して孤高を守っているという。農協と同様、漁協も合併による大型化が支配的な流れなのだなあ。それがいけないとは言わないが、流れに逆らう静かな気概と覚悟を感じて気持ちが良かった。実際、近隣と比較して定置網の水揚げ量はかなり高いという。魚の水揚げ量など魚の気分次第なのかと思っていたら、とんでもない。網への誘導路をつくるなど、努力すればしただけ成果が上がるのだそうだ。

 房州屋さんの責任者は組合長の息子さん、生まれ育った波佐間の振興のためにひじきを手始めに、アンチョビの製品化研究など夢を一つひとつ現実のものにしている。息子の心意気に親父さんが目を細めている姿は実にほほえましかった。そして製造の現場を障がい者が担う。

 半島突端の極小の漁協には大きな夢が広がっていた。