2013.11.11

特養をよくする特養の会総会で権丈善一氏記念講演

 昨日、横浜駅近くの神奈川県社協会館で、特養をよくする特養の会の定期総会が開催された。その記念講演に慶應大学商学部教授の権丈善一氏をお迎えした。権丈先生については、このブログで何度か紹介したことがあると思うが、社会保障と財源の問題では、私がもっとも尊敬する研究者だ。
 といっても、彼の主張はある意味非常にシンプルだ。GDPの2倍を超える1000兆円という天文学的負債を抱え、世界最高の高齢化率に達する我が国が一定の水準の社会保障を維持するためには、消費税の大幅アップ以外の道はないことを、豊富なデータで示す。

 財源問題ではさまざまな俗説が流布されている。もっともひどかったのが、2009年の政権交代をもたらした民主党のマニフェストで、行政改革で20兆円の財源を生み出し、増税なしで社会保障財源を生み出すことができるという暴論を展開した。実際はその10分の1にも及ばなかったことは、ご承知の通りだ。権丈氏は、政権交代以前から、一貫してこれに反論し、民主党政権ができれば日本が滅びると主張していた。

 彼は、2008年の社会保障制度国民会議に続いて、昨年設置された社会保障制度改革国民会議の委員に就任し、この8月に政府に提出した報告書のうち、医療、介護に関する部分を執筆した。昨日は、その報告書の内容を中心に、1時間半の予定を上回る話だった。権丈氏の講演は無駄がまったくなく、あっという間に終わる。

 財源問題では、逆進性がある消費税ではなく、所得税、相続税などを引きあげるべきという議論があるが、これらの増税による財政規模は消費税より1桁少ない。所得税の累進率を高めることには賛成だが、そんなもんでは到底追いつかないのが現実なのだ。公務員が多すぎる!行政改革で財源を生み出せという主張も根強いが、我が国の公務員数は、OECD諸国の中で最低水準に近いことを知ったうえで言っているのだろうか。

 そんな俗論を否定しようのないデータに基づいて蹴散らしてくれるのが、権丈教授の魅力だ。彼は、消費税を20%代まで引き上げないと、この国の未来はないという。我が国よりも高齢化率が低く、出生率が高い欧州各国が軒並み20%を上回っていることを見れば、その必要性は素人にもわかる。この国は、政治家、経済界、マスコミが一体になって、その事実を隠ぺいし続けてきたのだ。20年前に増税路線に政策を転換していれば「高福祉」も望めただろうが、それはもう無理だ。しかし、今、転換しなければ「中福祉」も難しくなる。我々は、消費税率10%はゴールではないことを覚悟しなければならない。