2013.07.13

福祉環境融合事業市民ファンド研究会

 標記の研究会を設置しようと考えている。名称はあくまで仮のものであり、もう少しスマートなものが思い浮かべば変更したい。簡単に言うと、まず、今後つくる福祉施設はできる限り環境への配慮、特に再生可能エネルギー(風力、太陽光 小水力 …)の発電機能を併設していきたいと考えている。「福祉環境融合事業」とは、そのことだ。そして、もう一つは、施設建設費を地域住民、市民が拠出するというお金の流れをつくりたい。「市民ファンド」がそれに当たる。
 風力発電では、このスキームが着実に実績を上げている。風力発電所(風車)を1機建設するには6億円程度必要になるという。その資金を普通の市民が出資し、金利付きで返済を受けるという仕組みができているのだ。私も、ある北海道の風車建設に出資し、年利2%で元利の返済を受けている。今の時代、2%の金利は魅力だ。もちろん、リスクはある。風力発電を行なう事業会社が倒産すれば、その時点で残金は戻ってこないだろう。事業計画がしっかりしているか、本当に出資して大丈夫か、慎重な判断が必要だ。まさに、「自己責任」の世界だ。

 しかし、考えてみよう。リスクを取りたくないから、多くの市民は、とりあえず安全そうな銀行や郵便局に預貯金する。しかし、そのお金がどこにどう使われているかは関心を持たないのが普通だ。もしかしたら、電力会社の原発建設資金として融資されているかもしれないのに。

 SRI(Socially Responsible Investment)という言葉がある。社会的責任投資と訳される。『一般的には、「企業への株式投資の際に、財務的分析に加えて、企業の環境対応や社会的活動などの評価、つまり企業の社会的責任の評価を加味して投資先企業を決定し、かつ責任ある株主として行動する投資手法」と理解されてきました。そして広義には、「社会性に配慮したお金の流れとその流れをつくる投融資行動」を示すものとされてきました。』(NPO法人社会的責任投資フォーラムのホームページより)

 私は、SRIをもっと広げるべきだと思ってきた。企業の収益力のみを指標に株を買うのではなく、社会に役立つ活動をしているかを判断基準に加えていく人たちが増えれば、企業活動のあり方が変化していくだろう。さらに、例えば、自分たちが地域で暮らし続ける上で重要な福祉施設の建設資金を出資する「プロジェクトファイナンス」が広がると、地域社会はもっと面白くなる。施設が倒産したらお金が返ってこないかもしれない。そうならないためには、お金を出した人たちがいろんな形で支えていこう。ボランティアに参加するのも良いだろう。私たちは地域社会のお客さんではなく、担い手なのだから。

 生活クラブ風の村では、中期計画の中でプロジェクトファイナンスの可能性について検討することを課題にしてきたが、そのための研究会の設置を提案したい。

 趣意書案を書いたので、御用とお急ぎでない人は、よければ読んでみて下さい。

趣旨

 我が国は、世界に例の無い人口減少社会に突入しました。また、高齢化率は既に世界最高水準にあり、現在は4人に1人が65歳以上ですが、2060年には2.5人に1人に達します。2040年の総人口は現在よりも2000万人も減るのですが、高齢者人口は1000万人近く増えて、3900万人足らずに達すると見込まれているのです。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」より)このうち、介護が必要な高齢者は500万人に及んでいますが、当然ながら、その絶対数が今後30年に渡って増え続けていきます。これに対して、要介護高齢者向けの施設は既に圧倒的に不足しており、受け皿として期待される特別養護老人ホームの待機者は42万人に達しています。。できるだけ自宅で暮らし続けることが可能になるよう、地域包括ケアの取り組みが進められていますが、すべての人が自宅で最期を迎えることは困難です。今後、増加する要介護高齢者が、介護を受けながらその人らしく生き、最期を迎えることができる「住まい」をどのように整備するかが大きな社会課題になっているのです。自宅での生活を望む人には、それを支える福祉、医療サービスを、自宅ではなくても、住み慣れた場所で、家族、友人に囲まれて暮らしたい方には、安心できる住まいを、星の数ほど創っていかなければなりません。

 私たちは、自分たちの地域の福祉資源を充実し、ずっと住み続けることができる街にしていきたい、それを、市民自身の活動として実現していくべきではないかと考えました。具体的には、住まい等の施設建設資金を市民自身が拠出(出資)する取り組みです。ヒントは、再生可能エネルギーの拡大を目指した風力発電、太陽光発電における市民ファンドづくりです。この分野では、例えば、1基6億円もする風力発電装置(風車)の建設資金を市民出資によって調達し、事業利益を出資者に還元する取り組みが安定した実績を上げています。

 これを参考に、超高齢化に突入する地域社会に不可欠な福祉資源の建設を、市民自身の出資によって賄い、事業収益を市民に還流するファンドづくりを研究したいと思います。これを仮に「福祉環境融合事業市民ファンド研究会」と名付けます。

 これからの福祉事業は、施設の屋根や敷地で太陽光発電を行なうなど、環境保全、再生可能エネルギー開発の視点を持たなければならないと考えるからです。

戦後、この国は、奇跡と言われた高度経済成長を成し遂げ、「1億総中流」といわれ、90%以上の人が自らを中流と意識する時代がありました。しかし、80年代のバブルを経て、それがはじけた90年以降、グローバリゼーションの進行とともに、格差が拡大し、今や、相対的貧困率16%、子どもの貧困率15.7%に達し、特にひとり親家庭の貧困率は実に50%を超え、OECD諸国中、最悪の状態になってしまったのです。経済成長、企業収益を至上の価値として、かつては「固定費」とされた人件費が容赦なくコストカット対象とされ、非正規労働者が全労働者の3分の1を超えるようになってしまいました。そして、熾烈な競争にさらされる職場では、精神を病む労働者が増え続けています。職場だけでなく、地域、家庭、学校など、あらゆる場が優しさを失い、人間関係が荒廃を深めており、いわゆる「社会的排除」が進行しています。

そして、こうした戦後日本の歴史は、地球環境への姿勢と同調しています。豊かさを追い求め、効率、生産性を優先して自然環境を犠牲にしてきたのです。

そうしたこの国のあり方にとてつもない犠牲を伴って警鐘を鳴らしたのが、3.11だったのではなかったでしょうか。

人口が減少し、高齢化が進むこの国においては、経済成長を追い求めることは現実問題として不可能です。その意味では、人の心をむしばみ、地域のつながりをこわし、自然環境を傷つけてきた歴史を根本から見直し、モノの豊かさに変わる新たな価値を創造する絶好のチャンスが訪れたのだと考えたいと思います。

超高齢化に対応する地域に根ざした福祉資源を「福祉環境融合型事業」として市民自身の力でつくり、支えていくことは、こうした価値転換を図っていくことと言えないでしょうか。

以上の趣旨に賛同いただける方は、是非とも、研究会にご参加いただきたく、お願いいたします。研究会の活動を通して、市民ファンド活用型の事業を順次生み出していきたいと思います。