2013.05.31

都市部の高齢者、地方へ!?

 去る20日、「都市部の高齢化対策に関する検討会」が初会合を行なった。都市部の急速な高齢化問題は今後深刻を極める。埼玉県では2025年に75歳以上人口が2010年の2倍に膨れ上がる。千葉、神奈川、大阪、愛知、東京、福岡がこれに続き、1.6~1.9倍になるという。特養の待機者は東京都が4万3746人、神奈川2万2865人、千葉1万6646人、埼玉1万4067人にのぼる。(以上、朝日新聞5月21日朝刊から)
 都市部は地価が高く、こうした膨大な待機者を吸収する施設の建設は困難だ。そこで、地方に建てた施設で受け入れることができないかが検討されたということだ。参考にされたのが杉並区の例だ。同区は、静岡県南伊豆町に子供向け施設があったのだが、これが不要になり空いた土地に特養を建設するのだそうな。

 確かに、都市部の用地問題は深刻で、「住み慣れた町で最期まで暮らし続ける」ことは困難を極めることは間違いない。「地域包括ケア」という原則論でことが解決するわけではない。ただ、本当にこの流れが加速して良いのだろうか。

 少し古い数字になるが、10年前、東京都の知的障害者入所厚生施設は79ヶ所あったが、そのうち過半の41施設が都外にあった。青森県から岐阜県まで14県に及ぶ。知的障害児施設は17のうち10が、身体障害者療護施設は8のうち3が他県にあり、協力施設にいる人を含めると、4千人近くの障害者が東京を離れて生活していたという。(http://pf-japan.jp/blog/archives/2003/05/4000.html)障がい者は人里離れた施設で生涯を終えることが当然という時代が長く続いた。「施設から地域へ」という脱施設の流れが広がったのはごく最近のことだ。

 「今度は高齢者か」と考えるのは、私だけではないだろう。

  実際は今に始まったことではない。2009年に起きた「たまゆら」火災によって、23区内の生活保護受給者が都外の施設に送られていることが広く知られるところとなった。その数は昨年10月現在で1800人に及ぶという。(http://www.asahi.com/national/update/0106/TKY201301060047.html)今回の検討会は、深刻を極める都市部の要介護高齢者問題を正面から議論しようということなのだろう。きれいごとでは済まないことはわかる。尊敬する大森彌先生が座長だし、議論の推移を見守ることが必要なのかもしれない。しかし、人生の最終段階で住み慣れた土地を遠く離れて暮らすことが幸せとはどうしても思えない。