2013.07.05

阿部彩氏講演会ー生活困窮者自立支援について

 本日、千葉市の美浜保健福祉センターで阿部彩氏の講演会が開催された。阿部氏は、国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部 部長で、『子どもの貧困~日本の不公平を考える』岩波書店(2008年)、『弱者の居場所がない社会ー貧困・格差と社会的包摂』講談社新書(2011年)などの著書がある。
 生活クラブ千葉グループ9団体のうち、4つの団体(生活クラブ虹の街、VAICコミュニティケア研究所、ワーカーズコレクティブ千葉県連合会、生活クラブ風の村)が時を同じくして、来年度を初年度とする中期計画(3ヶ年計画)を策定することになり、そのための合同勉強会を企画したのだった。阿部氏の著書は豊富なデータに基づいて我が国の現状をわかりやすく説いていることで定評があるが、今日の講演も明解であった。日本の相対的貧困率は2010年のデータで16.0%、子どもの貧困率は15.7%と公表されている。いずれも、6~7人に一人が貧困状態にある。40人のクラスなら、6人が貧困層だということだ。さらに、ひとり親家庭の子どもの貧困率はなんと50.8%、二人に一人が貧困なのだ。これは、OECD加盟34か国中最低の数値である。日本は、いつのまにかそういう状態に陥っているのだ。

 アベノミクスは、株価を上げ、円安に誘導することで輸出主導の大企業の収益を高めて、やがてそれが中小企業に波及し、労働者の賃金上昇につながるという、いわゆるトリクルダウンを目指す戦略だが、そううまくいくとは到底思えない。相対的貧困率は、1985年頃から一方的に右肩上がりに上昇してきた。この格差を是正するには、やはり、社会保障政策の抜本的な見直し以外にないのではないか。

 さて、貧困層の自立支援を図る「生活困窮者自立支援法」が、先の通常国会での成立確実と思われたが、最終日の問責決議のドタバタで廃案になってしまった。今回の問責決議案はまったく無意味!メンツにもならない代物だったと言わざるを得ない。その成立のために重要法案と刺し違えるなんて、みんな政治家やめてしまえと吠えたくなる。先の衆議院選も悩みに悩んだが、今回の参議院選は、本当に誰に投票したらよいか、まったく決められないでいる。 

 生活困窮者自立支援法は、おそらく秋の臨時国会に再提出され、成立すると思われる。施行は再来年4月に予定されており、各市町村(福祉事務所があるところ)には生活困窮者の自立を支援する相談センターの設置が義務付けられることになる。相談センターでは、対象者のアセスメントを行ない、就労、家計相談、住宅確保、子どもの学習などの支援を行なう団体につないでいくのだ。

 1970年代には90%以上の人が自分の生活レベルを「中流」と感じていた。1億総中流という言葉も生まれた。ジャパンアズNO1と世界からもてはやされ、多くの日本人が胸を張った。しかし、今は見る影もなく、貧困、社会的排除が進行している。もちろん、70年代にも貧困層はいたし、現在も多くの「中流」層は存在している。しかし、数字は正直で、貧困、格差が着実に増大し、社会的に排除された人たちが増加している事実は疑いようがない。

 この問題に正面から取り組むことがこれからの日本にとって不可欠であることを認識しなければならない。