2013.06.14

骨太方針

 安倍政権により経済財政諮問会議が復活したが、6日の会議で「骨太の方針」(素案)が公表された。財政再建目標では、2015年度までに基礎的財政収支の赤字を10年度比で半減するとしているが、目を疑う。だって、今、13年度でしょ。予算編成は14、15年度の2回しかない。そこで赤字幅を半減なんて、どんなマジックを使うのだろうか。
 財政再建のために「社会保障費も聖域としない」としているが、具体的に見直しを明言しているのは生活保護費のみだ。これがもっとも情けない。生活保護費は今年度予算で670億円の削減が決まっているが、来年度以降も各種扶助、加算制度や給付水準を見直すという。「取りやすいところから取る」施策にため息が出る。超高齢化が進み、社会保障費は今後も上昇を続けるのだから、見直しは不可避だ。しかし、例えば70歳から74歳の医療費の窓口負担を1割から2割に上げるという民主党政権時代からの懸案一つ決められない。負担増=議席減という条件反射で、国民負担を上げる政策は出るたびにつぶされてきた。アベノミクスで経済成長率を上げ、税収増で財政を再建しようというのだろうが、それはそう簡単ではない。最近の株の乱高下、円高への回帰がそれを予言していると言えよう。負担の問題を回避して財政再建は不可能なのだ。しかし、参議院選を前にして国民の反発が予想される負担増の政策は一切打ち出されなかった。例外が生活保護費である。

 歴代政権と変わらず、問題の本質を国民に示し、判断を仰ぐことを避けて、票に影響しないところから取るという根性が本当に情けない。世界に例がない人口急減社会を迎える日本は、この国の未来像を明示することが求められている。もうそんなに時間はない。従来の価値観に基づく小粒の成長戦略で、本当にこの国が再生すると考えているのだろうか。生活保護の見直しでいったいいくらの財源を生み出すことができるというのだろうか。せいぜい1千億円程度でしょう。そんなことより、社会保障と税の一体改革を議論している社会保障国民会議の場で、長期的な視点に立った、まさに「骨太」の議論を進めてほしいものだが、こちらも今のところ瑣末な論点での議論に終始しているようにしか見えない。2008年、麻生政権下で取りまとめられた社会保障国民会議の報告書は画期的だった。負担の問題に正面から切り込み、国民に自分たちの将来像の選択を迫った。今回の国民会議には、今のところ、そうした迫力がまったく感じられない。