2012.01.27

介護報酬決定

 一昨日、社会保障審議会介護給付費分科会に4月からの報酬改定内容が諮問され、実質的に決定した。改定の方向性は既に示されていたが、単価が決まったので、事業者としては、急ぎ、来年度予算の編成に入らなければならない。

 改定内容について私自身は「まあこんなものだろう」というのが率直な感想だ。生活援助の短時間が短くなったことについては、腹立たしい気持ちがあるが、介護給付費分科会は、一貫して生活援助に対する評価が低い。分科会では「生活援助」のホームヘルパーは「レンタル家族の時間貸し」であり、「利用者を過保護」にし、「おばあちゃんのお世話保険」に堕しているという発言が繰り返されたという。議事録を確認しなくても誰の発言かは予想できる。生活援助サービスに対するこの偏見に満ちた論調が、長く分科会を支配してきたのだ。ただ、こうした発言を許してしまう背景には現場の質の格差が大きいことがあると思う。ヘルパーというより、ケアマネジャーやサービス提供責任者の問題が大きい。生活援助が軽度者の状態の維持、改善につながっているという多くの事例が公表されているにもかかわらず、利用者や家族の要求を丸のみして文字通り家事代行的なサービスを行う一部の事業者、専門職の存在が、生活援助たたきの根拠になっているのだ。さらに、生活援助を軽視する論調の背景には、「生活援助は専門性に乏しく、主婦ならだれでもできる」という古~い女性蔑視思想が横たわっているのだ。

 デイサービスも単位時間が切り下げられたが、これも、個別支援計画に基づく自立支援の質が一向に高まらないという現実が背景にあるのではないか。11~12時間の長時間サービスに加算を付け、その理由を家族のレスパイト機能を果たすためと明文化されたことに、複雑な気持ちがしないでもない。どうせ、リハビリ等の個別支援ができないなら、せめて家族支援のためになるべく長くあずかれと言われているように思うのは、考え過ぎだろうか。

 新制度、定期巡回随時対応型訪問介護看護(いわゆる24時間型訪問介護)と複合サービス(小規模多機能型居宅介護と訪問看護を一体化させた制度)の報酬単価も公表された。

 生活クラブ風の村では、新制度の事業にできるだけ参入しようと準備をしてきたが、24時間型訪問介護のニーズは、都市部ではともかく人口が少ない田舎ではかなり少ないのではないかと思う。複合サービスとともに、重度になっても在宅で暮らすことができる切り札としてできた制度だが、これによって特養待機者が減るとは思えない。

 それでも、私は、「まあこんなもんだろう」と思う。地域包括ケアを進める基本方向は間違っていないし、ケアマネージメント力を高めて、医療、介護の連携を強化して「在宅」を支えるという改定の思想は正しいと思うからだ。

 改定への批判の中で、「財源がないから給付を抑制するという魂胆がミエミエ」というたぐいのものがあるが、これには反論したい。反論するといっても、「それは邪推だ」ということではない。報酬改定の背景には間違いなく財源がないという現実がある。今回示された改定内容を上回る給付アップを求めるなら、財源をどう確保するかも合わせて提案しないといけない、保険料をもっと上げろとか、消費税などの税率をもっと上げろ、公務員給与を大幅に下げろ、埋蔵金が本当はもっとあるはずだからそれを掘り出せというように。それを言わず、財源がないから給付水準を下げたんだろうという質の批判は、子供がぐずっているようなもので、批判でも何でもない。

 最後に、国は人権、尊厳の問題として新設特養は個室ユニット型であるべきとの考えを明確にしてきたが、一部の自治体から、そんなこと言っても低所得の人が個室ユニット型に入居することは難しいではないかとして、4人部屋特養を造る動きが広がりつつあった。低所得者には補足給付と呼ぶ補助金があり、自己負担の軽減がされているのだが、特に介護保険料区分第3段階の人(年収80万円~260万円程度)のうち下限の80万円に近い人の自己負担がもっとも重く、このレベルの人がもっとも入居しづらいという問題があった。今回の改定で、第3段階の人の補助が増え、自己負担が月1万円程度減ることになったのは、評価したい。財源が厳しい中、実現は難しいのではないかという前評判だったのだが、良く頑張った!