2011.09.17

生活クラブと私15 なぜワーコレへの業務委託に疑問を持ったか

 協同組合にはいろいろな種類がある。ポピュラ―なところでは農協、生協、漁協など、誰でも思い浮かぶだろう。ワーカーズコレクティブも協同組合の一種であり、「労働者協同組合」とか「協働労働の協同組合」と呼ばれる(以下「労協」)。労協とその他の協同組合には決定的な違いがある。労協には基本的に労使関係がない。逆に言えば、その他の協同組合には労使関係が存在する

 労協はもっとも原理的な協同組合と言われる。協同組合とは、「共通のニーズを満たすために、複数の人が手を取り合って作る組織」と言って良い。例えば、「安心、安全な食べ物を手に入れたいというニーズを持つ消費者が10人集まって、近くの有機農業者から安全な野菜を共同購入する仕組みをつくる」というのが、生協の原型だ。このくらいの規模ならだれも雇うことなく10人のメンバーの任務分担で共同購入を行なうことができるが、仲間が増えて、100人、1000人になると、専任事務局機能が必要になる。生協などの協同組合にはすべて専任事務局機能、すなわち、雇用関係が発生している。

 これに対して労協は、ある目的のために出資金を出し合い、対等の関係(みんなが経営者)の職場を作るもので、雇用関係が生じない。原理的な協同組合と言われるのは、そのためだ。

 雇う、雇われるの労使関係ではなく、働くすべての人が経営者という労協は、私の理想の職場だ。生協で仕事をしていた時代も、社会福祉法人に移った今も、そういう職場をどう作っていくかが、私の生涯のテーマと言って良い。

 今、生活クラブ風の村には1000人を越える職員がいるが、私が目指すのは、1000人全員が経営者であり労働者であるという職場だ。仕事の一部をワーカーズコレクティブに委託しても、何の問題の解決にもならない、本体の職場における雇用関係は続くのだから。

 つまり、私がワーカーズコレクティブへの業務委託に疑問を持ったのは、専任事務局組織自体を協同組合的な職場に再編することこそが目指されるべきだと考えたからだ。

 そのモデルはスペイン、バスク地方にある。モンドラゴン協同組合群と呼ばれるその地域は、銀行、学校、保険会社、製造会社などあらゆる部門に労協が存在し、数千人の従業員が働く電機メーカーもある。全員が経営者であり、労働者なのだ。

 日本には、労協の法的な根拠がこれまでなかったのだが、年内にも「協働労働の協同組合法」(仮称)が成立する可能性があるという。そうなれば、私の夢が一歩近づくことになる。