2011.09.30

脱原発

 菅直人前総理の最大の功績は、脱原発の方針を明確に表明したことだと思っている。浜岡原発の運転再開を阻止したことも、菅さん以外にはできなかったかもしれない。

 世論調査によると国民の60%は、原発に頼らないエネルギー政策への転換を求めている。しかし、この方向で政治が舵を切るには様々な困難が横たわっている。震災前まで、電力会社と経産省が中心になった強力な政官財さらには研究者、マスコミをあげての強力な原発推進シフトが形成されてきた。それは、震災後半年を経た現在も基本的には変わらない。もう騙されないという素朴な国民感情を、時間をかけて洗脳しようとする動きが既に始まっているのだ。

 9月19日、大江健三郎さんなどが呼びかけ人になった脱原発集会が、千駄ヶ谷の明治公園で開催され、6万人が参加したという。参加した人に聞くと身動きができない状態だったという。それはそうだろう。明治公園はそんなに広くない。あの中に6万人入ったら、まさに通勤電車並みの混雑だったと思う。しかも、労働組合などの組織動員よりも、子ども連れからお年寄りまで、止むにやまれぬ気持ちで気持ちで集まったと見受けられる人たちが多かったという。私は残念ながら長野に出張中で参加できなかった。

 国民の多くは、何としても脱原発の方向に舵を切らねばならないと、切羽詰まった気持ちでいるのだと思う。私もそうだ。今しかないではないか。

 しかし、マスコミ各社のこの集会の報道は実に抑制されたものだった。停止中の原発の再稼働、原発輸出、さらには、今は無理かもしれないが、将来の新規建設に向けた世論形成が、深く静かに始まったのだ。自分の国ではもうつくれないだろうというものを他国に売り込むというのはどういう神経か。原発輸出ができなければ日本の経済成長はできないとでもいうのだろうか。

 野田総理は、就任直後、「原発の新規建設は難しい」と述べた。これはどういう意味かをはっきりすべきだ。新規に原発建設ができないということは、遅くとも既存の原発がすべて耐久年数を越える40年後には原発はなくなるということだ。つまり、期間に関しては諸論があるだろうが、日本は脱原発の方向に向かったということなのだ。

 野田総理は、あらためてそのことを明確に表明すべきだ。私たちがすべきは脱原発か否かの議論ではなく、原発の全廃までのロードマップについてだ。