2019.03.09

公立福生病院の透析中止

今、この時も人工透析をおこなっている身にとって、この事件は相当にショックです。シャントがつぶれて、首から回路を確保するしかないというのは、私には経験がないし、20人もの人が、どういう理由で、透析の中止を選び、あるいは、透析の開始を拒否したのか、私にはわかりません。

しかし、意識があり、他の人とコミュニケーションが可能な状態で治療を拒否するのは、尊厳死とか安楽死のレベルではなく、自死の選択権を認めるということに他ならないと思います。

私は、ALS患者の人工呼吸器装着の決断時のことに思いを馳せました。ALS患者は、呼吸不全にいたり、人工呼吸器を装着するか否かを選択する時が必ず訪れます。日本の装着率は20~30%とのこと、7~8割の人が、死を選んでいます。ALS患者にはすでに自死が認められているといっていいでしょう。

長尾クリニックの長尾和宏さんは「Dr和の町医者日記」で、次のように語っておられます。

「私は信念として、意思疎通ができる神経難病の患者さんには、全員、人工呼吸器の装着を勧めている。」「せっかく装着をOKされても、導入目的に入院されると意思が逆転したことかある。病院の医師からは、必ずこう説明されて、患者さんは、おじけづくのだ。「呼吸器は一度付けたら、一生、外せませんよ!」驚いた家族は、病院から必ず電話をかけてくる。「一生外せないのであれば、先生もういいです。本人も諦めました」私は、「そんなことはありません。私は条件を満たせば外します。第一、具合がいいか悪いか、付けてみないと分らないじゃないか!」」「「一度付けたら外せない!」が、病院の付けないための殺し文句なら、「条件を満たせば外せる。少なくとも私は」が、私の説得文句。外す条件とは、
・本人が「外して欲しい」と希望して、かつ
・多臓器不全などで、死期が近いとみんなが判断されること

もちろん、それがOKかどうかの法律は日本では無い。日本では、先進国で無いのは日本だけ。

病院の先生から「それは殺人罪」とも説明されているので、それに対しても
「私はそうは思わないし、もし罪に問われるなら牢屋に入るから付けて」と頼むのだが・・・」

7~8割の患者のうち、いったい何人が、長尾先生のような説明を聞いたうえで、死の選択をしているのでしょうか。

週3回、4時間から6時間の透析を続けることは、相当のストレスではあります。病状も、人によって大きく異なるでしょう。私は、今日も透析が終わってから仕事に赴くのですが、疲れ切って、家で横になるしかないという人もいるでしょう。しかし、だからと言って、「自死」の選択権を認めてよいのでしょうか。

報道による限りですが、担当医が、長尾先生のような説明をしたうえで、選択を促しているとはとても思えません。

私を含めて、人工透析で命を永らえている患者は、全国で33万5千人います。その全員に、その外科医のような選択を迫ったら、いったいどうなるのか。元フジテレビアナウンサー長谷川豊氏の発言を思い起こすまでもなく、身震いしてしまいます。

 

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