風の村、そして介護業界の「現状」と「これから」を現場職員3人が本音で語ります。
特養ホーム八街で働く3人で座談会を開きました。
「メンター制度」や「2025年問題」等
介護職ならではの希望や悩みを本音で語り合いました。
特養ホーム八街
介護課長
特養ホーム八街が開設当初、当時は珍しい完全個室、個別ケアの介護方針に共感をし、開設後間もない時期に入職。10年間特養ホーム八街に在籍し介護職として勤務。
その後は風の村稲毛ショートステイで10年間在籍、現在は特養ホーム八街に戻り、介護課長として従事している。
特養ホーム八街
ケアワーカー(介護職)
福祉に興味を持ったきっかけは、高校時代にスーパーで買い物ができずに困っていた高齢者を見たこと。将来的には相談職を目指しており、介護現場で得られた経験や知識を活かしたいと思っている。
今年から特養ホーム八街で実施されているメンター制度では、メンターとして担当後輩職員の教育やケアを任されている。
特養ホーム八街
ケアワーカー(介護職)
子供の頃からボランティアが好きで、中学生の時に就労支援事業所で職業体験を行ったことが、福祉に関心を持ったきっかけ。
現在は、介護職として入居者様と関わり、楽しみながら、日々奮闘中。今後は、資格を生かしてさらにステップアップしていきたいと思っている。
メンター制度を取り入れているそうですが、それについてどう感じていますか?
2022年から新卒入職の方に対して、僕たち2、3年目の若い職員が1人ずつ担当につき、メンター(先輩)とメンティ(後輩)というかたちで仕事内容の相談などコミュニケーションをとっていく制度が始まったんです。
僕と田村さんはメンターを担当していて、メンティとは雑談なんかも多いのですが、色々と相談を受けて自分なりにアドバイスをしています。田村さんとは同期で同じ立場なので、内容を共有してお互いにアドバイスをし合ったりしていますね。
香取さんには、ちょっと自分では答えられないなって時に相談したり、こういうことがあったけど、どう答えればよかったんですかねって反省を聞いてもらったり。
本部の助言もあって、私たち課長や主任などの役職者はあまり前に出ないようにしています。なので、基本はどんな話をしているって聞けないんですが…
たまたま先月末に面談があって、報告をしてもらう機会があったんです。
「この制度を導入して、君たち(メンター)は、何か変わった?」という内容の聞き取りを行ったんですが、なんというか、すごくしっかりとした、自信に満ちあふれた態度で報告してくれたんですよね。その時に、メンターが変わっているのを実感して、メンティはもう任せるって話をしました。ほんと、メンターみんなです。木村さん、田村さんを含む5名のメンター全員にそう感じました。
こういう対人援助の仕事って手を止められないので、だからこそ、ちゃんと時間をとって面と向かって話せることがいいって言っていて。少しずつ考え方や感じ方も変わってきているんだなって実感しましたね。そういう意味でも、いい制度だと思いますよ。
そうですね、今の香取さんのお話、多分私が言ったんですけど…メンティとしても、休憩中にお昼食べながら、周りに人がいる中で大事な話とか、深い話ってやっぱりしにくいなって感じることもあると思うので、変な話ですけど、業務時間中に堂々とおしゃべりする時間をもらえるのは、悪くないなっていう印象を持っています。
今後ご利用者に対して叶えたいこと・実現したいことはなんですか?
レクリエーションの企画をしたいなって思っています。私はコロナ禍の中で入職したので、そういう機会が少ないまま今に至るんですが…コロナ前は“遊びリテーション”と言って、運動をしたりするレクリエーションがあったと上司から聞いています。コロナが終息してきたら、どんどん企画を出していきたいなって思います。
具体的には…好きなものを食べてもらったり、出かけたり…あ、私趣味で楽器をやっているんですけど、せっかくだったら自分の趣味とかも活かせたらなって思っています。
うんうん、お出かけ企画、やりたいよね。
うん、いいと思いますよ。コロナ前は、やっぱり外出をしていたし。風の村の特徴としては、一人ひとりの夢を叶えてあげるみたいなことがあって…記憶しているのは、国会議事堂に行ったり、東京ドームに行ったり、ディズニーランドに行ったりとか。あとは食事に関しても、施設ではなかなか出しにくいものをお出ししたり。例えば、お誕生日にご家族様と都合を合わせてファミレスや焼肉屋さんに行ったりしていました。
僕、ご入居者さんと居酒屋に行ったこともありますよ。
え、居酒屋ですか?
そう。居酒屋に行きたいって言っていた入居者さんと行こうってことになって。入居者さん2人と仕事中に飲んだことある。夜8時くらいから。
え?夜に行ったんですか?
そうそう、近くに居酒屋があって。やっぱり居酒屋だったら夜だよねって。
入居者さんが、死ぬまで行けないとか、食べられないって思っていたものが叶うと、本当に幸せそうな顔をするし、そうやって最期を迎えられるっていうのは、やっぱり大切なことだと思いますね。それを叶えるために、人員的なことも、シフトも、お金も…あとは車とか、色々と考えることがあって、そういうのを調整することも自分たちの成長になりますよ。
はい、本当にその通りだなって思います。
やっぱり施設って閉鎖的な空間なので、言い方が悪いですけど、どうしても息が詰まってしまう。なので、せっかく出かけるんだったら、ご利用者さんの行きたい場所に行くのがベストかな。もちろん、そこには職員の負担ではないですけど、労力がかかってしまうのですが…でも、たくさん労力をかけても、やっぱりそれを上回るくらいご利用者さんの笑顔って素敵だなっていう風に僕は思います。
両者ともに、100点!(笑)
そういうことですか!?(笑)
この機会に座談会メンバーで話したいことはありますか?
2025年問題をこのメンバーで話したかったんです!
2025年になると、第一次ベビーブームの方たち全員が、後期高齢者になりますよっていうのが「2025年問題」なんですよね。つまり、この施設をご利用になる方も体力的に落ちてきたり、病気をお持ちの方が増えたり、介護するリスクも高くなる。それでも現場に配置できる人数は限られているという状況で、風の村ではどういったことを大事にしていくのか…スタンスや方針、僕たち職員にどんなことを頑張ってほしいのか、何を求められるのかっていうのを話したいです。
そうですね、今までのお年寄りは、戦争を経験してきたりしているんで、何事も「我慢」っていう時代だったんですよね。精神的にも経済的にも我慢するっていう時代を経てきている。一方で、これからのお年寄りは、我慢をしなくていい時代。食べたいものが食べられるし、やりたくないことはやらなくていいっていう時代を生きてきている方々が入居される時代になるので、そういうストレスを受け止められる職員っていうのは、恐らく今後求められてくる。そのストレスをどうかわすか、クリアするかっていう力も必要になってくると思います。
うーん、そうですよね。
それから、職員同士でなかなか話し合えなかったり、ご飯を一緒に食べにいけなかったりする情勢もあって、自分の想いとか、気持ちを吐露できない環境の中なので、どうこなしていくか、支え合っていくかっていうのは大事になってくると思いますね。多分、風の村に限ったことではないと思います。業界全体で高齢者が多くなっているので、新入職員さんたちをどう成長させていくか、自分たちがどう成長していくか、本当に覚悟を持ってやっていかなきゃいけない仕事になってくるんじゃないかなと思いますね。
香取さんのお話を聞いて、すごく難しい問題だなって思いました。
入居者さんって一言で言っても、やっぱり好みも変わってくるんだろうなって気が付いて…
例えばイベントとか企画するときでも、好みや価値観に合わせていくのが大切なのかなっていうのは聞いていて思いました。
あと、やっぱり高齢化っていうところで、ご家族様の年代が上がっていくことも関係するなと。職員が関わるときに意識していけたらいいのかなっていう風に思いました。
僕たち職員はご利用者様の意見を傾聴するスキルが、これまでよりもっと求められているのかなって思います。今後は後輩たちにどう教えていけばいいのかなっていうのも、今の僕の悩みではあります。
風の村の職員に向いている人はどんな方ですか?
発想を転換したり、違う角度から物事を見ることができる人ですね。認知症の方って思いもよらない行動を取ったり、言ったりするんです。例えば、手でご飯を食べている人がいても、インド人の方はそもそも手で食べるし、箸を使わない時があってもいいんじゃないか?その代わりちゃんと手を洗ってあげようとか…そういう風に発想の転換をすることで、ちょっと仕事の見え方が変わってくるのかな。そういう考え方ができる人が向いているんじゃないかなって思います。
そうですね。自分の頭で考えていることをアウトプットしていって、周りに伝える努力は必要だと思います。でも、まずは発想力がないと何も始まらないので。
本当に、今の風の村に必要なんじゃないかなって思います。
確かに、私もここに入って、やっぱり認知症の方の行動に驚くことってあるんですけど、上司や先輩は、すごい柔軟な受け取り方とか、ときには冗談を交えて対応しているところを間近に見て、発想力ってすごく鍛えられた感じはしているので、まさしくこれだと思いました。
ぜひ、そういう考え方ができる方に入職していただきたいですね。
- トップページ
- 座談会 高齢者支援事業