榮 静香 Sakae Shizuka
生活をする上でどうありたいのか、どうなりたいのか、
利用者さんの気持ちをベースに考えていくことは
ブレないようにしています。
多くの職種の方と直接繋がり、連携して初めて1人のご利用者を診る
「治療」が目的である病院とは異なり、ご利用者様は自分の家での暮らしがあり、その生活をする上でお手伝いをすることが訪問看護の特徴です。その人の生活全体の中でできること、病気を抱えながらも、自分の好きなように生きていけるようなお手伝いができるという、“生活を支える視点”で仕事ができるのが訪問看護を好きな理由です。
訪問看護で働く環境の中でも、風の村は法人としても大きく、色々な視点で判断ができるところに惹かれました。例えば、社長の一存で看護方針が決まってしまうような施設もありますが、ここはケアプランやデイサービス、訪問介護等も複合的に行っているため、多くの職種の方と直接繋がることができ、連携して初めて1人のご利用者を診ることができます。
実際に入職してからは、多職種の方と連携をしながら看護を提供している感覚を持つことができています。ヘルパーさんやケアマネジャーさん等が、それぞれの持ち場で専門的に責任を持って関わります。関わる人の顔が見られる環境で、1人を診ることができるのはすごくやりやすいですね。
奇跡が起きたようなエピソード
2年くらい寝たきりでいらっしゃった認知症の方のエピソードです。居住されていたご自宅の部屋が狭いこともあり、ほとんどベッドの上で過ごされていて、自分で体を動かすこともできないような方だったんです。そんな状態で夏になって、脱水症状を起こしてしまい、ご飯も食べられない、水を飲むこともできないという状態で、入退院を何回か繰り返していました。
実はその時、ケアマネジャーさんと認知症に詳しい医師に担当を変えたほうがいいのではないかと話をしていました。あまりにも回復されないので、このままでは夏を乗り越えられないかもしれないと、私たちも深刻に捉えていたのです。
看護多機能ハウスができたことをきっかけに、施設での泊まりと自宅での暮らしを併用しながら過ごしていただき、そのタイミングで認知症に詳しい担当医に変更してもらったんです。そうしたらその後メキメキと元気になられて…普通の椅子に座って、ご飯も普通に食べて、5キロも太ったんです!今は本当に元気でケラケラと笑いながら過ごされています。
お薬の調整と看護多機能ハウスでの環境の変化だけだったので、何が功を奏しているのか私たちも確信が持てず、看護研究に上げられるようなことだよね、なんてみんなで話しているのですが、本当によかったと思いました。
今年もお元気でいらっしゃっていて、また暑い夏が来るので、どう乗り越えるかをケアマネジャーさんや担当医とよく話し支援していきたいと思っています。
生活や人生そのものを捉えた上で、その病気と向き合う最善方法を提案したい
看護師の目線で、こうあるべき、こうした方がいいっていう事はよくあります。でも、そういった機械的な判断だけではなくて、一人ひとりのご利用者様がどうありたいのか、どうなりたいと思っているのか等、やっぱりご利用者様の生活や気持ちをベースに考えていくことはブレないようにしています。
風の村の理念に共感できることがまずベースにあるのですが、元々病院で働いていた時にジレンマを抱えていたんです。病院としては、治療は治療として患者様に対してやらなければいけないのですが、自分たちの価値観や方針をただ伝えたところで、なかなか理解してもらえなかったり、そうじゃないんだって反発があったりしました。高齢化社会で高齢者が増える中、患者様それぞれの生き様や環境、想いがあるのが現状ですよね。その方の生活や人生そのものを捉えた上で、その病気と向き合う最善方法を提案したいという想いでした。
病院とは違う訪問看護に興味があるという方は、是非一緒にやりたいな思っています。
若い人でも、年齢問わず応募していただけたら嬉しいです。